パロ開発者の柴田崇徳博士からの挨拶&パロハンドラー研修会の紹介
 柴田先生から挨拶とご案内が届きましたので、ご紹介いたします。
メールだったので文章ばかりということもあり、ブログとして読みやすいように、関連する写真を私の自己判断で掲載いたしました。ご了承くださいませ。


寒中お見舞い申し上げます。

CBS12
←CBSニュースより







 2020年からのコロナ禍が続き、オミクロン株の感染も急増し、社会的な不都合や不安がありますが、お元気に過ごされていらっしゃるでしょうか?

感染症対策について
 コロナ禍でのパロの利活用に関して、「感染症対策」を心配される方々がいらっしゃると思いますが、適切に安全に管理してご利用いただくことができます。2000年にパロを筑波大学附属病院小児病棟の隔離病棟で臨床評価を行った際に、非常に厳しい「感染症対策」を求められて以来、パロの人工毛皮の抗菌加工を施し、現在は銀イオンによる制菌加工(バクテリアやウイルスを徐々に減らしていく機能)を施しています。また、アメリカ退役軍人省病院やイギリス国営病院でのパロの導入に当たり、使い捨てワイプを用いる2分間の「掃除と消毒のプロトコル」を実証評価し、安全性が認められて、同様のプロトコルで世界各地の医療福祉施設で、パロが導入されてきました。
退役軍人病院

←退役軍人病院での様子
柴田博士の論文から抜粋
Sustainability | Free Full-Text | PARO as a Biofeedback Medical Device for Mental Health in the COVID-19 Era | HTML (mdpi.com)



 コロナ・ウイルスに対しては、「掃除と消毒のプロトコル」は30秒で殺ウイルスできることから、コロナ禍前と同じ手順で、パロが医療福祉施設で継続や新規で利活用されています。

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←コロナウイルスに対して30秒で殺ウイルスができるとされているクリネル社の「ユニバーサル50」
医療用として病院でも使用されています。




クリネル® ユニバーサル50Clip-Pack/200 – モレーンコーポレーション (moraine.co.jp)

 コロナ禍は、我々の社会生活に大きな制約を課しており、「社会距離の維持」や「人によるサービスの制限」等が発生しましたが、逆にパロが役立つ機会になりました。特に、医療福祉施設の患者さんや入居者等への家族の面会・訪問が限定的になったため、「孤独」の問題が発生したり、要介護者のデイサービスの利用の困難が、家族の介護負担を増やすなどの問題がありましたが、それらの改善にパロが役立っています。
日本施設
←柴田博士著の上述の論文より抜粋









セラピー効果について 
 パロのセラピー効果については、これまでに数多くの「臨床試験」、「ランダム化比較試験」や、それらの「メタアナリシス」等の結果により示されています。特に、パロとのふれあいによる「認知症の行動・心理症状(周辺症状:BPSD)の改善」については、グループ・セッションでも、パロと1体1でも、改善効果が有ることが、メタアナリシスにより、一番質の高いエビデンスとして示されています。イギリスでは、臨床の「NICEガイドライン」の「認知症」の「非薬物療法」で、パロを用いるセラピーが、唯一、質の高いエビデンスを有する治療方法として掲載されています。

エビデンスレベル

←エビデンスレベルについて
パロは最も高いとされるRCTやシステマティックレビュー
の論文が多いです。
(柴田博士のパリでの講演より抜粋)





NICE
 ←NICEガイドラインで書かれたパロのこと
柴田博士のパリでの講演スライドより抜粋







パロ・ハンドラー研修会について 
 これらを多くの方々にご理解いただくために、分かりやすい入門編の「パロ・ハンドラー研修会」を無料でオンラインで、2021年度から毎月2回を目途に開催しています。コロナ禍で、オンライン会議に慣れた方々も多くなり、どこからでもご参加を頂けます。

チラシ 12月-3月
 ←ハンドラー研修会のチラシ


















講師紹介
 名古屋大学大学院医学系研究科・元教授(早期退職)で、ハッピーネット代表の堀先生に、監修と講義をお願いしており、これまでの参加者から大変好評を得ています。医療福祉に関わる方々だけではなく、学生さんや、個人オーナーの方々のご参加も多くあり、パロへの理解を深めることができたと喜ばれています。日本の医療福祉の質の向上には、「人材育成」や「人材への投資」が重要と思いますが、この研修会は、その一助になると考えています。
スクリーンショット (1840)
←zoomの美肌機能で撮影した堀の写真です。
実物より、肌が数倍きれいです。






 次回の「第16回」は、今週1月20日(木)18時〜19時15分頃を予定していますので、是非、ご参加を頂いたり、パロにご興味がありそうな方々に、ご紹介を頂きたくお願いいたします。

パロハンドラー研修会の申し込み方法
(株)知能システムHPより  株式会社 知能システム (intelligent-system.jp)

アメリカでのパロの活躍について
 アメリカでは、2009年にパロが「バイオフィードバック医療機器(クラス2)」と承認されて利用されてきましたが、2018年に公的医療保険や民間医療保険の保険償還の対象となり、さらに、2019年からは高齢者向け施設へのパロの導入費用(パロ本体購入や研修費用等)の全額を連邦政府保健省のファンドが助成してくれるようになりました。コロナ禍で一時ストップしましたが、2021年にはグループ単位(第1弾はワシントン州で28箇所の高齢者施設に43体)でまとまったパロの導入が始まりました。2022年はこのようなグループ単位の導入や、小児病院等でのパロの導入などにより、着実にパロの利活用が浸透していくことを期待しています。

FDA


←「バイオフィードバック医療機器(クラス2)」の紹介
柴田博士のパリでの講演スライドより抜粋






処方箋

←アメリカでの「うつ」に対するパロの処方箋
グループセッション 週に3回 20分

柴田博士のパリでの講演スライドより抜粋





ヨーロッパでのパロの活躍
 ヨーロッパでも、2020年にパロを医療機器化し、2021年から輸出が始まり、コロナ禍においてパロが役立ち喜ばれています。北欧では地方政府により、高齢者や障害者向けの施設等にパロが全額助成で導入が進んでいます。また、フランス政府は2018年に「抗認知症薬(日本名・アリセプト等)」の効果が低く、副作用が大きな問題であるとして、保険適用から除外しました。その代わりの「認知症対策」として、パリ首都圏政府等の地方政府が、高齢者向け施設等へのパロの導入費用を全額助成し、コロナ禍でも多くのパロが新たに導入されています。
その他、ヨーロッパ各国で、パロが喜ばれています。
フランス
←フランス
柴田博士のパリでの講演スライドより抜粋






デンマーク

←デンマーク
柴田博士のパリでの講演スライドより抜粋






オーストラリアでのパロの活躍
 オーストラリアでは、政府支援のパロの認知症の行動・心理症状に対する改善効果の治験の良好な結果に基づいて、在宅介護の要介護者が希望すれば、豪州政府ファンドにより、パロの購入費用の全額が助成されるようになり、コロナ禍の孤独対策や周辺症状の改善に役立っています。

世界での使用
←世界で使われているパロ
 柴田博士のパリでの講演スライドより抜粋








日本でのパロの活躍
 日本では、パロは福祉用具として、高齢者向けサービス事業者や障害福祉サービス事業者向けに、厚労省のファンドで、半額補助を活用して導入していただいています。

ゆいまーる
←イメージ写真











論文紹介:コロナ禍でのパロの活躍
 これらのコロナ禍でのパロについてまとめた論文を、次のリンクのように、2021年10月に発表しました。世界各地のパロに関する研究者と連名で、最近の動向を紹介しておりますが、論文中の写真をご覧いただくだけでも、ご理解いただけると思います。


注1)この論文は、ブログでも5回に分けて紹介しています。ご覧いただければ幸いです。
コロナ禍で世界で活躍するパロ:論文出ました❤ : ハッピーネットのblog

注2)柴田先生のパリでの講演は、5回に分けてこのブログで紹介しています。
柴田崇徳先生の講演 その2 パロのエビデンス : ハッピーネットのblog
仏・サミット:柴田先生の講演その3  医療機器として活躍するパロ  : ハッピーネットのblog
柴田崇徳先生の講演 その4 ソーシャル・ロボットに関する倫理的問題 : ハッピーネットのblog

日本での医療機器化をめざしています
 今後、日本国内でも、パロのセラピー効果を積極的に謳うためには、福祉用具版のパロに加えて、医療機器版のパロが必要と考えておりますが、厚労省PMDAからは、海外での治験等の結果だけではなく、日本国内でパロの治験の実施を求められています。「医師主導治験」の実施を目指していますが、その責任医師となって頂ける方が、見つからずに困っている状況です。

さいごに
  オミクロン株の感染が急増しておりますので、お気を付けください。
本年も、よろしくお願いいたします。

柴田崇徳
産業技術総合研究所
人間情報インタラクション研究部門 上級主任研究員

東京工業大学 情報理工学院情報工学系 特定教授
マサチューセッツ工科大学 高齢化研究所 客員フェロー